四万十川では、いろいろな漁法で鮎を捕っています。
伝統的でユニークな鮎漁を紹介します。
友釣り・友掛け
友釣り・友掛けは生きているおとりの鮎に仕掛けをほどこし、野鮎を誘い出して釣る漁法です。
釣り人と鮎とのスピード感あふれる攻防戦が魅力の友釣りは四万十川でも大変人気があり、解禁日になると多くの釣り人がやってきます。
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網漁(あみりょう)や仕掛け漁
網漁や仕掛け漁は一度にたくさん魚が捕れるというメリットがあります。
鮎の大きさに合わせて網目のサイズ、網全体の大きさ、重量を選び、上流・中流・下流域と川の場所や時期によって方法も変わります。
手投げする網は半円を描くように投げたり、円錐を描くように投げたりと網の形状によって違いがありますが、いずれも熟練した技術と経験がものをいいます。
四万十川でよくおこなう網漁と仕掛けの名前を挙げてみましょう。
とあみ・・鮎の群れに網を投げて円錐形になるよう打つ。
投網(投げ網)・・鮎の群れに網を投げて打つ。建網(刺し網)や袋網も含まれる
建網(刺し網)・・鮎が通るところを刺すようにまっすぐに網を置く(火振り漁でも使う)
袋網・・刺網の下の部分が袋状になっている
注連縄・・川に張った縄に鮎がおびえて川縁(かわふち)に寄ってくるところに網を投げて打つ
タタキ網・・20mほどの網を投げ込み、竹竿などで水面を叩いて鮎を網に追い込む
ニゴリクミ・・増水した出水時に河岸に身を寄せる鮎をすくう
マワシウチ・・20~30艘の舟から投網を次々と打つ
地曳網・・産卵のために下ってくる鮎の群れを囲み引き上げる
セバリ・・網を張り川底のすき間に筒を仕掛ける
火振り漁・・火を振って鮎を驚かせ仕掛けた網へ追い込む
火振り漁
火振り漁とは字のごとく舟の上から火を振り、バチャバチャと川面をたたく音とともに鮎を驚かせ、あらかじめ仕掛けている網へと追いやって捕る漁法です。
網を端のほう(ふち)へ置くことからフチオキ漁といったり、舟で網を置くことからフナオキ漁ともいいます。
遡上する鮎の数や川の状態、気象条件を見て「よし、今晩、火振りをするか!」と仲間内で決めて決行します。なるべく新月に近い真っ暗な日がよいとされています。
火振り漁をおこなうには、2艘~10艘ほどの舟団を組みます。
舟には漕ぎ手と網を置く人の2人が必要ですので、親子や兄弟、夫婦で舟にのり、地元の仲間同士で行うことが多いです。
それぞれの舟が網を張り、多い時は1つの網に200匹から300匹の鮎が網にかかることもありますし、少ないときは13匹の鮎を4人で分け合ったと漁師から笑いながら話を聞くときもあります。
昔は松明をに火をつけて振っていましたが、今は電灯を振って鮎を驚かせています。
四万十川では伝統的に行われてきた漁法ですが、火振り漁を行う許可(鑑札)は地元でも一部の人しか持っていないため、今では貴重な漁法となりました。
地元の祭りや体験イベントで、昔ながらの松明を振る火振り漁をデモンストレーション的に見ることができます。