四万十川のウナギを捕るための漁法のひとつ、延縄漁(はえなわりょう)を紹介します。
延縄漁は、針の先に川魚や大ミミズを付けたハリスを施し、それを縄(なわ)にくくりつけて川の中に延ばすようにひと晩仕掛けます。
夜、エサの臭いに誘われて穴から出てくる天然のウナギを釣り上げるのです。
単純で原始的な方法ですが、比較的大きなウナギが捕れやすく、四万十川の伝統漁法でもあります。
漁期と仕掛ける時間
ウナギの漁期
高知県ではウナギの漁期は4月1日から9月30日の日没までです。
春になり水温が温かくなりエサを求めて動き出すウナギを延縄漁で狙います。
秋になると産卵のために海へ下るウナギを保護するために漁が禁止されています。
ウナギは5年~15年ほど川に生息しその後、日本から3,000㎞も離れた南のマリワナ諸島付近で産卵するといわれています。
その生態は非常に不思議です。
関連:四万十川でのうなぎの時期(漁期)と釣り方・仕掛け・エサの紹介
延縄を仕掛ける時間
ウナギは夜行性です。
そのため延縄漁を仕掛ける時間は、エサを求めてうなぎが動き出す日没の時間帯です。
夕方に仕掛けて、翌朝、仕掛けをあげに行き、釣果を確認します。
延縄を仕掛けたら、朝、5時とか6時頃に仕掛けを見に行くのですが、縄を手繰りよせている時にグーっと力強い引きがあれば、何かがエサに食いついている証拠です。
川の中から針に掛かったウナギが体をくねくねしながら姿をあらわしたら、「やったー!」と一番うれしい瞬間です!
仕掛け
延縄の仕掛けは、じょうぶな縄とハリスです。
まずハリスを作るところから始めましょう。
ハリスとは、針と糸で作る仕掛け部分のことです。
ハリスの作り方
延縄漁によく使われる針の号数は、9号~11号、糸は8号~10号がよく使われます。
自分でハリスを作る場合は、外掛け結びで針を糸に付けます。
最近は、すでに針を糸に付けたセットも販売されています。
初めての方は、セットを購入されるとよいですね。
縄をつける
縄は、タコ糸を使います。
それぞれ、1.5m、3m、5mとタコ糸の長さを変えて使い分けます。
重石(おもし)
重石は川原にある手頃な石を付けることが多いです。
重石がないとエサが浮かんで食べにくくなるので、外れないようにしっかり巻き結びで括りつけます。
目印(めじるし)
どこに仕掛けたか分かるように、目印を付けます。
発泡スチロールを使うと手頃で便利です。
エサ
肉食のウナギが好むエサは、生きた魚や虫です。
延縄漁では、川で釣った新鮮な小魚や、畑や溝にいるミミズを使います。
少し大きめの魚はぶつ切りにして、針につけるといいでしょう。
ハヤゴ(小魚)を釣る
まずは、小魚を釣りに行きましょう。
こちらではハヤゴまたはハヤンボとも言いますが、おもにイダやオイカワ、ウグイなど動きの速い中型の魚を使います。
小魚を釣るには毛バリでもよいですし、小さなミミズ、または川の中の石に付いている瀬虫(セムシ)を使うとよく釣れます。
延縄漁はエサの準備にけっこう時間がかかりますが、新鮮なエサがないと天然のウナギは捕れません。
頑張りましょう!
大ミミズ(シーボルトミミズ)を、エサに使う時もあります。
小さなミミズを延縄に使うと、小魚につつかれてしまい、上手くいきません。
延縄に使うなら大ミミズがよいでしょう。
延縄漁のコツ
延縄漁のコツをひとことで言うのは難しく、漁師それぞれの企業秘密なところが多いです。
ポイントをいくつか挙げてみます。
- ウナギが好む新鮮なエサを使う
- ウナギがいそうな、少し流れのトロい箇所に仕掛ける
- 雨が降って水量が増えた後、少し水が引いた後がよい
- 掛からない時は少しづつ仕掛ける場所をずらしていく
延縄でウナギを捕ったら
川でウナギが捕れたら、すぐに篭(かご)に入れましょう。
ウナギはぬるぬるとしていて動きが俊敏です。
川では針や重石の小石をつけたまま、蓋つきの篭に入れておいたほうが無難です。
陸に上がってから、口近くで糸をハサミで切ります。
ウナギが捕れたら
無事、ウナギが捕れたら、背開きにしてかば焼きにしてみましょう。
捌く前に、ウナギを氷漬け、または酒・焼酎・ビール等に付けて動きを麻痺させておきます。
そうしないと腕にぐるぐると巻き付いて料ることが難しくなります。
ケガを防ぐためにも必ずウナギをおとなしくさせておきましょう。
ウナギを大人しくさせるには?
捌く前のウナギを大人しくさせるコツを動画でまとめました。
動画【四万十川の天然うなぎ】さばく前に大人しくさせよう!
ウナギの背開き
初心者でもできるウナギの背開きを動画でまとめました。
動画【四万十川の天然ウナギ】初めての背開きの仕方
春先から夏ごろまで、大きめのウナギが捕れじゅうぶん楽しめるのが延縄漁です。
ぜひ、四万十川の延縄漁を体験してみてください。